私にとって身近な『永遠の0』

300万部を超える大ヒットになった、百田尚樹さんの『永遠の0』。特攻隊員として死んでいった方のお話しという事で「近いうちに読んでみたいな」と思っていたところ、読み始めたら引き込まれ、約600ページに渡る長編を、ほとんど一気に読み上げてしまいました。



と申しますのが、私の身近な話題でもあるからなんです。私の実家は大分県宇佐市にありまして、戦争を経験された方なら「宇佐航空隊」として、その地名を記憶されているはずです。実は私の母方の実家は、柳ヶ浦という航空隊のあった地域で、戦時中には母の実家の離れが、航空隊員の住まいとして使用されていたんです。そして「永遠の0」の中にも「宇佐」の名前が登場していた通り、実は多くの特攻隊士が宇佐から鹿屋に移され、その鹿屋から出撃して亡くなられました。

これは私が生まれる前の話しなのですが、私はある時、昭和39年(1964年)4月18日に発行された毎日新聞の記事に、小林光様と仰る特攻隊士と私の祖母(順)とのお話しが掲載されている事を知りました。下の写真が、その記事です。



ここには概略、次のような事が書かれています。

・小林光上飛曹は、出撃前に短い休暇が与えられた際、遠い新潟の実家ではなく、宇佐で下宿していた順さん(私の祖母)の家を訪ねて来た。順さんは、突然の訪問で驚いたが、家族で歓待した。

・順さんとその娘(私の母)が、七輪でおかきを焼いてもてなした。

・小林光様が「生なく死なく無我の境、山河見ること絵のごとし」という歌を順さんに贈った。順さんもこの時、特攻の事を悟ったが、口に出しては言えなかった。

・小林上飛曹の実父様が、終戦後も毎年、光様の命日に「生前のご厚情に感謝申し上げます」というお手紙を、自分で書けなくなるまで送り続けてくれていた。

以上の通りです。

私の母は、この時の事を覚えているそうで、宇佐から飛び立つ際に「家の上空に来たら、両翼を2回振りますからね」と言って、帰って行かれたそうで、この時、家族全員で下から手を振って見送ったとの事です。

下の写真は、宇佐航空隊が飛行訓練をしていた大洲海岸と、今も残る滑走路跡です。

 



下の写真が、生前の小林光上飛曹です。



私はこの記事を読み、こちらから訪問していなかった非礼に気付いて、小林光様のご実家(新潟県)へお墓参りに訪問させて頂きました。その際に伺った小林光様に関するお話しと、「永遠の0」の主人公宮部久蔵氏とは、非常に似た状況にあったんだという事を実感しました。決定的に違っているのは、小林光様は結婚していなかったし、子供さんもいなかったという事ですが、それ以外は、非常に酷似しています。

①両者とも、真珠湾攻撃から参加していた、優秀な戦闘機乗りだった。

②小林光氏が上飛曹、本に書かれている宮部久蔵氏が一飛曹で、どちらも呼び名は違うものの、下士官として最高の階級であった。(操縦歴の長さから考慮すると、多分、操縦の腕前も、同じ位だったのではないでしょうか?)

③宮部久蔵氏が、階級に関係なく、誰にでも丁寧な言葉遣いで接していたのと同じく、私の母の記憶では「小林さんは特攻隊士とは思えないような、いつもニコニコして遊んでくれた、優しい人」だった。

④宮部久蔵氏が人並み外れた体力の持ち主だったと描かれているのと同じく、小林光氏は、新潟では水泳選手としてならしていた。

⑤最終的に出撃命令が下されたのが終戦直前で、同じく鹿屋から飛び立って亡くなられた

私は「永遠の0」の宮部久蔵氏と小林光氏を重ね合わせ「なぜ長い事、出撃させなかった腕利きの人に対し、終戦直前に出撃命令を出したのか」が、分かった気がしました。当時の軍部は、今の腐りきった大組織と酷似しています。

折しも昨日、NHKの放送で、サザンオールスターズが映画「永遠の0」の主題歌を作って歌う事になったそうで、その「蛍」という歌を初めて聴きました。歌詞も曲も、お話しの内容にピッタリ来る素晴らしい歌でした。それからまた、この映画の中で使用された零戦21型を、宇佐市が買い取り、一般公開されているそうです。この話しは、私も今まで知りませんでしたね。

http://www.asahi.com/culture/update/0630/SEB201306290067.html

主人公である宮部久蔵氏のお話しが人々の心に響くのは、自分の意思で生きていく事が困難であった時代でも、自分に出来る範囲で精一杯、人として生きていく信念を貫き、それに共鳴した人々が、終戦後もその志に応えようとして生き続けた事にあるのではないかと思います。人は死んでも、志は生きる訳です。現代に生きる我々は、わずか70年位前に先人が築いてくれた礎を忘れてはなりません。

アクアスでは、明日からお盆休みに入りますので、帰省の際、実物を見て来たいと思います。

それから私はお盆明けにも出張が入っていますので、このブログも一旦お休みとし8月26日から再開させて頂きます。それではまた、2週間後に。

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