解体屋(こわしや)ゲン

私自身、あまり漫画を読む習慣はなかったのですが、五代目源右エ門さんから「週刊漫画TIMEに曳家(ひきや)の話しが連載されてます。私達と同じ取り組みなので、良かったら見て下さい。」という連絡が入りましたので、早速、購入しました。



「解体屋(こわしや)ゲン」というタイトルの、今回が464話という長編です。その中で「曳き家の心意気」という項の今回が3回目でした。



この中で書かれているお話しは我々が常に直面して来た問題でしたので、大変興味深かったです。私の体験から言える事なのですが、震災でお住まいが傾いてしまった方の心理状態は、以下のようなものです。

・家が傾いたままでは、サッシや建具が固くて動かないし、たくさんの隙間が出来てしまっているので心配

・傾きの大きいところに長時間いると、気分が悪くなる

・傾いたまま長期に渡って放置しておくと、建物に変な癖がついてしまうのではないか?と不安

・かと言って、計画していた事ではないので予算がなく、あまり多額なお金は掛けられない。(次に大きな地震が来た時のためにも、ある程度の資金を残しておかないと、不安

・色んな業者が声を掛けて来るが、人によって言う事も値段も違うので、誰を信用したら良いのか、分からない

個人差はあるものの、お話しを聴いてますと、以上のような共通点がございました。

実際、家の傾きを直すというのは、全体のバランスを考えながら行わないといけないため、相当に専門的な知識豊富な経験が求められます。正しくやらないと、かえってお住まいを傷める事になってしまいます。そこで、地震のような予期出来ない災害が発生した場合には「地元の業者が遠方から専門業者を連れて来て、対応に当たってもらう」というのがベストな対応だと考えます。地元の業者が前面に立たないと、後々に不具合が発生した場合の責任問題でお客様が困る事になるからです。

それからもう一つの問題点。これは建築知識のある同業者から出てくる話しなのですが「土台と基礎を切り離すので、強度が落ちる」というものです。



そういう面は、確かにあり得ます。補強はしてますが、以前よりも強度が落ちている可能性はあります。しかし、この部分だけを問題にしても、それは「木を見て森を見ない」発想だと思います。大震災を経験した人は分かるはずですが「耐震リフォームを行ったばかりなのに、地割れによって全壊になった」という例は、被災地にいると多数あるんです。また、町ごと全体の地盤が流れてしまうと、土台と基礎の連結強度といった問題ではなくなってしまいます。

曳家さんと仕事をしていて感じたのが「住まい全体のバランス」です。建物をいくら強固に作っても、基礎や地盤が脆弱だと簡単に破壊されてしまいます。「安心のために、どこまでお金を掛けられるか」という事を施主様と一緒に話し合い、完全ではない事も理解して頂いた上で、どこまでの工事を行うかを決める事が大切なのではないかと思います。こういうお話しをすれば、ほとんどの方が納得頂いて、土台揚げ工法を選択されてます。何事にもプラスとマイナスがありますので、我々はその両方を提示し、最終的には施主様に決めて頂く、というのが正しいステップだと考えます。

漫画の中では「70年の実績です」という事を最大の根拠にされてました。「これなら地震が来ても大丈夫」という保証が誰も出来ない場合は、実績が最大の判断材料になると思います。五代目源右エ門さんは「120年の実績」ですので、アクアスはその点を最大の根拠にして、取り組んで来ましたし昨年の4月から実施して来ました曳家工事での「お客様の満足度」「余震による被害が出ていない事」から、それは正解だったと改めて感じております。



地域密着で事業を行っている我々は、地域の方々のお困り事を正面から受け留めリスクを負いながらも、納得理解を得ながら進めていく事が必要と考えます。長く住まれる家では、傾いたままの補修は、将来の不具合を生み出す可能性が大ですので、アクアスではおススメしてません。

これから、私も漫画を読む事が習慣になってきそうです。

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解体屋(こわしや)ゲン への4件のコメント

  1. 時田光 より:

    『解体屋ゲン』特設サイト管理人の時田と申します。
    今回は『解体屋ゲン』曳き家編をご紹介いただきありがとうございます。
    私たちも今回の取材を通じて、「施主さんとの対話の重要性」「絶対の正解はない」「悪徳業者に気をつける」
    といったことを訴えてきたつもりです。専門家のご意見を聞けて、ちょっとだけ安心しました(笑)。

    今回の未曾有の大震災で、どの業者さんも手探りで仕事されてることと思います。
    先の長い闘いであり、ご苦労も多いと思われますがぜひともがんばってください。
    私たちも長いスパンで応援してゆきたいと思っています。

    • manager より:

      時田様。
      ブログにコメントを下さり、誠に有り難うございます。
      日本列島のどこにいても、突然遭遇するかもしれない問題に正面から取り組まれ、広く知らしめようとされている姿勢に、敬意を表します。
      時田さんが問題にされている「悪徳業者」に関しては、震災復興需要の一攫千金を求めて集まって来る業者というだけではなく、被災地にいても「本当はよく分からないのに『壊すしかない』という無責任な発言をする人」「自分の得意な工事だけやって、後は逃げの姿勢」という工事業者も、同じなのではないかと感じております。私達がいくら「家の修復は可能です」と言っても、長く付き合って来た大工さんから「壊すしかない」と言われた言葉が耳から離れず、未だに迷われている方や、既に解体してしまわれた方が多数いらっしゃいます。
      是非とも、岡本さんの取り組みを益々広めて頂きますよう、お願い致します。
      それによって、救われる方が多数いらっしゃるはずですので。
      時田さんは、乗り物がお好きなようですので、もし福島県須賀川市を通りかかる事があれば、是非、アクアスにもお立ち寄り下さい。日程が合えば、愛知県犬山市から来ている『五代目 源右エ門』という曳家さんの工事も見て頂けますので。岡本さんと同じ工法を採られております。
      毎週金曜日の「解体屋(こわしや)ゲン」の発刊を楽しみにしております。

  2. 解体屋ゲン 読んでいただきありがとうございます。 岡本さんと一緒に仕事をさせていただいています「ウレテックジャパン」の川口です。

    本当に良い仕事のできる職人さんとめぐり合えたことは幸せです。

    復興だからしっかりと仕事をする。 困っている人たちに一番良い工法の選択を提供できる

    技術を継承して、次に伝える

    次の地震にも対応できる技術者の集団を作って行くために

    がんばりましょう。

    • manager より:

      川口様。
      アクアスの安部です。コメント頂き、有り難うございます。
      川口さんの取り組まれている通り、確かに曳家さんは傾いた家を直すのですが、地盤の問題が解決される訳ではありません。「べき論」を言えば、地震が来て傾く前に地盤改良をしておけば良いのでしょうが、どうなるか分からないものに対して、まとまった金額は払えないというのが生活者側の一般的な心理だと思います。従いまして、震災で傾いた家の不陸調整工事と合わせて、御社の技術を活かすのが現実的な対応になって来ると思います。
      私の所属するアクアスはリフォーム会社ですので、曳家さんとの取り組みでは、不陸調整工事によって壊れた配管や基礎、そしてその他の傷んだ箇所の修復をアクアスが担当しております。要するに、2社のコラボ体制で、曳家さんの専門技術を活かしつつ、震災で被害を受けたお住まいを修復している訳です。愛知県犬山市の曳家さんに声掛けしたのは、福島県須賀川市におります私です。
      震災で被害を受けたお住まいを修復するのは、一律のやり方が通用しないため、高度な専門性が要求されます。そういう意味でも「川口さんは良いところに眼を付けられたな」と感心していたところです。
      岡本さんと川口さんだけでなく、被災地にある地域密着のリフォーム会社が一緒になって取り組めば、お客様も安心して仕事を任せて頂けると思います。例えば、私が最近、ブログにアップしてますお客様の外構工事も、曳家さんの工事が終わった後に残っている、お客様の不安解消のために行っている工事です。こういった部分まで対応しないと、生活者の方は、長く安心して住み続ける事が出来ないものと私は認識しております。
      ただし、コラボで取り組むには、震災復興に向けた考え方が一致しないと続かないでしょう。
      福島県須賀川市を中心に活動してます曳家さん「五代目 源右エ門」さんと地域密着のリフォーム会社であるアクアスとの取り組みは、これからも進化しながら続いていきますので、私のブログを是非、ご覧になられて下さい。
      私も、毎週「解体屋(こわしや)ゲン」を楽しみに読ませて頂きますし、私の出来る範囲で広めさせて頂きたいと思います。